是枝監督の『怪物』を観に行ってきた。ネタバレを含みます。
事前に何も情報を調べずに映画館に行った。校長先生役の田中裕子が出てきたあたりくらいから、ああ、こういう学校のいじめ問題を扱った作品なのかと思ったけど、そうではなくて、様々な登場人物の視点で出来事が描かれるようになり、観終わったあと、なるほど、と思った。少年二人はおそらく亡くなってしまったのだと思うが、少年二人が晴れた日に走る最後の場面は救いを感じた。純粋に美しい場面だった。
脚本は坂元裕二さんで、セリフは坂元裕二さんらしいレトリックがあったけど、いつもよりも控えているように感じた。ストーリー自体は重い。何がおこるかわからないような展開で、後半はちょっと疲れてしまった。
田中裕子の演技力がすごい。あの表情は笑っているようにも見えるし、怒っているようにも見える。似たようなポジションの役を、これまで是枝作品では、樹木希林がやっていたけど、樹木希林のほうがもう少し温かみがある。田中裕子の場合は不気味で得体が知れない。