U-NEXTで『リバー、流れないでよ』を観た。おもしろかった。雪が降って、いろんな意味で撮影は大変だったと思う。もしも2分間だけ時間が遡って何度もループしたら、という設定でドラマが展開していく。時間がすすんでほしい、と思ったり、時間がまたループしてほしい、と思ったり、登場人物たちのいろいろな気持ちが錯綜して、観ていておもしろかった。詳細を書くとネタバレになるので、あまり描かないことにする。友情出演の久保史緒里さんがわりと重要な役だった。肌が雪のように白くて、きれいだった。
『福田村事件』 森達也
U-NEXTで『福田村事件』を観た。映画館で観たかったが、U‐NEXTで観た。実際にあった事件が題材になっている。私は福田村でおきた事件をこの映画のことを知るまで知らなかった。昨年、日本新聞博物館で観た関東大震災についての展示を観ても思ったが、当時の新聞報道はかなりむちゃくちゃで、ウラもとらず、とにかく好き勝手に書いている(槍ヶ岳で爆弾が爆発して地震がおきた、とか、地震で日本の一部が沈没した、とか、朝鮮人に日本の歩兵部隊がやられた、など)。このような悲惨が事件がおきたのは、新聞の責任もかなり大きいだろう。在郷軍人役の水道橋博士は怪演だった。当時は永田町で政治家をやりながら、あいまに太秦に行き、撮影にのぞんでいたらしい。本人もきつかったと高橋源一郎のラジオで話していたが、たしかにこれは精神的にきつくなる役だと思う。永山瑛太の頭に小さい斧が振り下ろされて、殺される場面は少し考えてしまった。実際こんなことになったら、静かに倒れて死ぬだろうか。のたうち回って、苦しまないだろうか。東出昌大がよかった。昨年は彼が主演だった『Winny』も観たが、これもよかった。私は以前、筑波山へ向かうとき、高速道路の守谷SAで休んだことがある。福田村はそこから近い。利根川が流れていて、静かな場所だった。あのような凄惨な事件がおきたなんてまったく想像できない。
企画展「そのとき新聞は、記者は、情報は――関東大震災100年」 | 企画展 | ニュースパーク(日本新聞博物館) (newspark.jp)
『ノマドランド』 クロエ・ジャオ
Amazonプライムで『ノマドランド』を観た。最初はおもしろく観ていたが、次第に退屈に感じた。亡くなったパートナーとの関係や、かつて暮らしていたエンパイア(いまはゴーストタウンになっている)についての描写があんまりないから、主人公がかつて生きていた世界がどういう世界だったのか、なぜ放浪にこだわるのかわからなかった。親族が私たちの家に住んだらいいと言ってくれたり、かつての放浪仲間からもうちに住まないかと誘われたりする(結婚しないかと遠回しに言われていた)が主人公はすべて断ってしまう。ある人が株で儲けた話をすると、主人公は露骨に嫌悪感を示す。資本主義に対して嫌気を感じているのだろうか。しかしながらアマゾンの倉庫でバイトをしながら暮らしているから、必ずしもそうではないような気がする。主人公は「自立」にこだわっているのだと思うが、車で生活している人は、やはりまともな就職は厳しいのではないだろうか。就職のためにどこかに定住するという選択肢はありのような気がするが...。アメリカの就職事情はわからないから、何とも言えない。
三浦按針墓と『蜜柑』。
安針塚駅で降りて三浦按針墓まで行ってきた。なかなかの急な坂道で真冬なのに汗をかいた。このあたりは起伏が激しい。京急に乗って窓の外を見ていたらよくわかる。トンネルも多い。明治になって三浦按針墓を探して整備してくれたウォルターズという外国人はえらいと思った。最近になって三浦按針墓についてはどうやら本物である可能性が高いことが判明したらしい。ちなみに安針駅の地図の前でうろうろしていたら、小さい子供を連れた女性に、「どこか探されていますか」と声をかけられた。私のような風体のおじさんに親切に声をかけてくれるなんて驚いた。塚山公園から見える横須賀の景色もよかったし、逸見駅(へみえき)へおりる道も味わいがあったし、良い気分だった。ついでに芥川龍之介の『蜜柑』の文学碑も見た。行く途中で、『蜜柑』の朗読をききながら行った。文学碑のそばにトンネルがあった。『蜜柑』にはトンネルを出てから蜜柑を投げる場面があるが、あのトンネルは当時のままだろうか。10529歩。
企画展「そのとき新聞は、記者は、情報は――関東大震災100年」 | 企画展 | ニュースパーク(日本新聞博物館) (newspark.jp)